出前館の要約は以下の通りです。
- 最古参のフードデリバリー
- アルバイトとパートナーが共存
- 日本発のサービス
- 拠点が各地にある
- 実質LINEの子会社
- アナログ
アメリカ発の黒船Uber Eats に対抗する国産のニッポン・フードデリバリー・サービス、それが出前館です。
おしゃれさより分かりやすさ、デジタルよりアナログ、海外より国内……20世紀末の1999年からせっせと飯を運びまくるネット出前の老舗は伊達ではありません。部分的に古臭い部分もご愛敬だ。
この出前館のエリアを詳しく紹介します。
出前館の基本情報
まずは出前館の基本情報です。
サービス名 | 出前館 |
SNSなどでの俗称 | 缶 |
運営会社 | 株式会社出前館 |
母体 | LINE |
公式ページ | 【出前館】ピザ・弁当などの宅配デリバリーサイト |
公式Twitter | 出前館のTwitter |
配達エリア | 全国44都道府県 |
加盟店舗数 | 95,000 |
拠点 | 各地にあり ※重要 |
上記のように出前館=LINEです。2020年にLINEとその親会社のNAVERと提携を結び、実質的に子会社となりました。ソフトバンク系のZホールディングス系です。
このために出前館の配達パートナー登録や稼働業務にはLINEの登録が必須となります。何かむりやりな社内のITデジタル強化方針がひしひしと匂います。
出前館の配達の主力はアルバイト、正社員、特別提携の店舗(ASAなど)のヘルプです。こちらは拠点に行って、そこから配達に行きます。つまり、普通の配達のバイトです。
出前館の配達パートナー制度は他よりかなり遅れて、2020年5月に始まりました。
競合他社をかすませる基本報酬の高さと運び手を困惑させる配達アプリの使いにくさがフードデリバリー業界をざわつかせます。
出前館の配達員と配達報酬
出前館には二種類の配達員がいます。直雇用の従業員と業務提携の配達パートナーです。待遇や規定、そして、お金がそれぞれ異なります。
前者が貰うのは賃金=給料、後者が貰うのは報酬=利益です。この差は最終的に税金の計算に影響します。※個人事業の営業利益に給与所得控除は適用されない。
さらにお抱えの従業員は制服の着用と指定バッグの使用を求められます。シンボルカラーは赤です。
一方の配達パートナーの服装の規定は出前館の帽子のみです。これは拠点での説明会の後で貸与されます。
そして、配達パートナーには出前館の公式バッグやボックスは貸し出しも売り出しもされません。Uber Eats のバッグや市販のバッグで稼働できます。
ただし、競合のフードデリバリーのバッグで配達するときにはロゴを隠せと言われます。案の定、この妙な規定は配達パートナーの間では不評です。
つまり、出前館の赤い純正バッグで稼働する人は配達パートナーではありません。直雇用のお抱えのアルバイトか特別提携先のヘルプです。

報酬に話を戻しましょう。アルバイト配達員の賃金はオーソドックスな時給制です。おおむね1000~1200円/1時間です。バイト雑誌や公式サイトなどに詳しい条件があります。
アルバイトはアルバイトですから、どんなに配達をこなしても、時給以上のお金を貰えません。それが固定給というものです。
配達パートナーの売り上げは成功報酬制です。何か運ばないと、1円も貰えません。逆に効率的に配達すれば、時給換算2000~3000円を達成できます。
ちなみに出前館の配達報酬の計算式は非公開です。支払いの細かい内訳は配達パートナーには分かりません。
肝心の手取り額は無数のフードデリバリーの中では最高クラスです。肌感ではUber Eats の配達報酬の1.5倍。土日や繁忙期のブーストが強力です。
その反面、他のフードデリバリーより制約が多かったり、配達アプリがぽんこつだったり、拠点のサポートがスポ根だったりと、日本的な旧態依然が散見されます。
本質的には出前業=配送業です。社風が昭和スポ根体育会系になるのは不自然ではありません。創業から10年に満たない海外の若いIT企業とは違います。
とにかく、出前館には直属の配達員と配達パートナーが共存します。この二重スタイルは出前館だけの特徴です。
出前館の配達エリア
- Uber Eats 2016年
- DiDi Food 2020年
- Foodpanda 2020年
- menu 2020年
- DoorDash 2021年
上記は主要なフードデリバリーの国内サービスのスタート年です。2020年春のコロナ特需で新規参入が加速しました。
出前館はこれらの新参と一線を画し、1999年からネット出前を始めます。Windowsは98 SE、プレステは初代、インターネットはISDNの時代です。
また、同年の2月にiモードが始まりました。携帯電話の通販元年みたいなものです。これと同級生の出前館は現代的なフードデリバリーの大先輩、むしろ、最長老格です。
おかげで長年の慣習や経験が積み重なって、システムを無駄に複雑にします。
エラーを頻発するアプリ、説明会で貰える領収書、現金払いを拠点で清算する、拠点で異なる配達アカウントなどはその一端です。
44都道府県で稼働中
出前は地域密着型のサービスです。20年来のアナログ的な業務はエリアの展開と拠点の多さに大きく貢献します。
現時点で配達パートナーを募集中のエリアは以下の通りです。

宮城、福島、茨城、東京、神奈川、千葉、埼玉、富山、愛知、三重、岐阜、静岡、大阪、京都、兵庫、滋賀、広島、岡山、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、沖縄です。
エリアが意外と少なく見えますか? それは出前館の仕様です。サービスの前提が配達拠点の設置です。完全無店舗型のmenuのような早急な全国制覇は不可能です。
さらに出前館の配達の主力は直雇用の従業員です。彼らの固定給や拠点の家賃を賄えないような不人気なエリアは対象外です。
さらに待望の無店舗エリアが始まりました。ここでは店頭の面談や現金決済がオミットされます。
登録する拠点で配達するエリアが決まる
Uber Eats などのフードデリバリー・マッチングアプリは画一的なサービスです。一度配達パートナーになれば、場所を選ばず全国の都市で自由に働けます。
反対に出前館のシステムは画一的ではありません。創業からの20年で時代の流れに応じて、さまざまなテクノロジーに適応します。
- 電話
- FAX
- インターネット
- ガラケー
- メール
- スマホ
LINEのバックアップはありますが、IT化・現代化はまだまだです。一夜漬けでは旧来の日本的配送業者がUber Eats のようにスマートにはなれません。
結果、アナログな実店舗の拠点が必須となります。説明会、領収書の受け取り、現金払いの清算などのためです。
他のサービスでは現金払いの清算は売り上げからの天引きやクレジットカードへの請求で相殺されますが、出前館でまだこのシステムは完成しません。
このせいで配達拠点と配達エリアは紐づけられます。「東京で登録して、大阪や名古屋で配達する」とかは無理です。現金払いの清算は登録拠点のみで可です。
また、配達パートナーも稼働の始めと終わりにはLINEで登録拠点に「稼働します」と連絡しなければなりません。アナログですね。
拠点との紐付けが解消されて、配達パートナーのシステムが直雇用の配達員と完全に分離されれば、直行直帰・自由勤務の可能性が芽生えます。今のところ、その兆しは皆無ですが。
実際、拠点ごとに別々の配達アカウントが発行されます。中央のシステムがそもそも一様ではありません。もしや、フランチャイズ?
出前館の無店舗エリアがスタート
2021年夏、出前館がついに無店舗運営へ舵を切ります。

上記の新エリアには自慢の薄暗い拠点がありません。パートナーの登録もオンラインで済みます。そして、何と現金払いが不可です。
電卓で清算できるスタッフがいないからか?!
ちなみに出前館のIDコードは登録拠点ごとに発行されます。既存の配達パートナーが別エリアで配達するなら、その該当拠点のIDを再発行しなければなりません。
出前館の都道府県別配達拠点
出前館の配達パートナー登録はUber Eats やmenuのようにオンラインでは完結しません。拠点への訪問が不可欠です。
拠点はだいたい雑居ビルやマンションの一階にあります。UberパートナーセンターやDiDi Foodパートナーハブのようにこぎれいではありません。

以下に都道府県別の拠点の所在地と稼働エリアを列挙します。ちなみに注文受付時間は拠点の営業時間と共通します。基本的に11:00~21:00です。
出前館 北海道エリア
- 釧路 ※無店舗エリア 2021年8月1日スタート
出前館 宮城エリア
- 仙台
出前館 福島エリア
- いわき
出前館 茨城エリア
- ひたちなか
- 神栖
出前館 埼玉エリア
- 浦和
- イオンレイクタウンkaze
- アリオ上尾
- ふじみ野
- 小手指
- イオン川口
- 大宮
- 鴻巣
出前館 千葉エリア
- 千葉
- 船橋
- 柏
出前館 神奈川エリア
- 横浜
- 横須賀
- 川崎
- 町田
- 六会
- 藤沢
- センター南
- 武蔵小杉
- 大船
- 上大岡
- 溝の口
- 大和
出前館 東京エリア
- 新宿
- 池袋
- 上野
- 品川
- 小平
- 蒲田
- 学芸大学
- 錦糸町
- 石神井公園
- 大島
- 八丁堀
- 赤坂
- 高円寺
- 三軒茶屋
- 入谷
- 京成金町
- 日野
- 立川
- 三鷹
- 世田谷
出前館 富山エリア
- 富山
出前館 静岡エリア
- 浜松
- 沼津
- 新静岡
- 富士
出前館 愛知エリア
- 金山
- 豊橋
- 太田川
- 藤が丘
- 新安城
- 東岡崎
- 北名古屋 ※無店舗エリア
出前館 岐阜エリア
- 岐阜
出前館 三重エリア
- 鈴鹿 9月1日~
出前館 滋賀エリア
- 瀬田
- 近江八幡
出前館 京都エリア
- 五条
- 桂
出前館 大阪エリア
- 大阪都心
- 太子橋
- 千里丘
- 石橋
- 堺
- 長原
- 富田林
- アリオ八尾
- 今里
- 大和田
- 枚方
出前館 兵庫エリア
- 三宮
- JR尼崎
- 東加古川
- 姫路
- 明石
- 川西
- 伊丹
出前館 岡山エリア
- 岡山
- 倉敷 9月1日
出前館 広島エリア
- 広島
- 楽々園
- イオンモール広島祇園
- 呉
出前館 福岡エリア
- 博多
- 野芥
- 西新
- 千早
- 北九州
出前館 佐賀エリア
- 佐賀
出前館 熊本エリア
- 熊本 ※無店舗エリア
出前館 長崎エリア
- めがね橋
出前館 鹿児島エリア
- 鹿児島中央
出前館 沖縄エリア
- 那覇
- 北谷
出前館のエリアまとめ
2021年9月の出前館の配達エリアは全国44都道府県です。実店舗の拠点の数は圧倒的ナンバーワンです。
拠点なしには出前館のアナログなシステムが機能しません。他のフードデリバリーより実店舗への依存度が高めです。
配達エリアは登録拠点に紐づきます。「東京で登録、大阪で配達」や「横浜で登録、横須賀で配達」などは不可です。
拠点の複数登録は可能ですが、一般的ではありません。また、細かい規約や条件が各拠点で異なります。
現金支払いの清算は当日中に登録拠点でのみ可です。ここの自動化はまだ達成されません。つまり、拠点縛りもしばらく解除されません。
登録の際には拠点の住所に注意して、便利な立地を選びましょう。
その他のフードデリバリーのエリアです。